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(あ……こんなこと考えている場合じゃなかった…)
悠奈ははっと我に返る。
「じゃあ、悠奈君にも女性にするように接したらどうです?
男ですけど並の女性以上に綺麗ですよ、ね?」
総司が悠奈に同意を求める。
(悪気はない、悪気はないと思うんだけど……なんだろうこれ……嫌味なのかな……)
眩しいほどの総司の笑顔に対し悠奈はひくひくと頬をひきつらせた笑みを浮かべる。
誰から見ても作り笑いということはバレバレであった。
「ふざけんな。
どんなに綺麗でも男は男だ。
男に色目を使うなんざ虫酸が走る」
土方はげんなりと言う。
(僕も嫌かも……)
男の土方が男の悠奈に色目を使う。
これはまた別の意味で怖い。
「まあ、歳の目付きが鋭いのも、色好みというのも生まれつきだからしょうがないさ」
近藤はガハハと豪快に笑う。
悪気はないらしい。土方もそれがわかっているらしく諦めたようなため息をつく。
(近藤さんって、天然の毒舌家?)
悠奈は二人の様子を見ながらそう思ってしまった。
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