臆病者

7/18
前へ
/444ページ
次へ
「…………はぁ」 悠奈はがくりと肩を落とす。 (僕ってどうして……こんなんなんだろ……) 「………着替えよう……」 このままだとまた、いつまでも考えてしまう。 一旦考えるのを止めて、 テレビの電源を切り、 食べ終わった食器を流し台のところに入れる。 そして、足取り重くリビングを出ていった。 三年間制服を買い替えないでいいように、少し大きめの学ランを着替える。 のろのろと着替えていたので、いつの間にか10時を過ぎていた。 洗面所の鏡で、自分の顔を確認した悠奈はため息をつく。 綺麗に整った顔立ち。 加えて華奢な体つき。 そのせいか、女と言われても違和感がない。 美しいのに可愛く見えるのはまだ幼さが残っているせいだろう。 あと、数年経って身長が伸び、骨格もしっかりしてくれば幼さもなくなり、美男子になることは間違いない。 しかし、この顔立ちは幼いころからの悠奈の悩みである。 (こんな顔をしているせいで、どれほど苦労したことか……) 女に間違えられたことは数知れず…… モテるのだが、元々人見知りの激しい性格の上、鈍いので本人は気づいていない状態。 ,
/444ページ

最初のコメントを投稿しよう!

4559人が本棚に入れています
本棚に追加