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(…やっぱり僕は、この時代で生き抜くことなんて無理なのかな……)
最初の決意はどこへやら悠奈は諦めに近い感情になっていた。
「隊士が無理でしたら、小姓なんかどうですか?」
突然総司が思い付いたように言った。
「おお!それは名案だ」
近藤も賛同する。
「近藤さん❗」
「いいじゃないか、歳。
私も丁度小姓が欲しいと思ってもいたっ!」
難しい顔をした土方を、子供のように目をキラキラさせた近藤が見つめている。
〈……だめだ。こうなった勝っちゃんの意思は変えられねぇ〉
土方は諦めたようなため息をついた。
「わかった。近藤さんがそこまで言うんだったら俺は何も言わねぇ」
「ありがとうっ!歳ッ!!」
ガシッ
「こ、近藤さん💦」
土方が顔を引きつらせて嫌そうにしていた。
なぜそうなっているかというと、近藤が嬉しさのあまり土方に抱きついたのだ。
悠奈は驚いて二人を見つめていた。
近藤が土方にいきなり抱きついたことも驚いたのだが、
それ以上にまったくの赤の他人の筈の悠奈に世話を焼く姿に驚いた。
素性さえほとんどわからない赤の他人のためにここまで面倒を見てくれる人を悠奈は見たことがなかったから。
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