4559人が本棚に入れています
本棚に追加
だが、同時に暖かい何かが悠奈の胸にじんわりと広がった。
(心が暖かい……。
あれ?でも、何でだろう。何だか目も……)
悠奈は自分の目頭がだんだん熱くなるのを感じた。
慌て俯く。泣くのを見られるのは恥ずかしかったから。
(だめだ。僕、しっかりしろ。泣いちゃだめだ!)
必死に涙を堪える悠奈。
未だ近藤は土方をがっちりと抱き締めていて、土方は腕から逃れようともがいていたが、一応相手は局長という立場なので、本気になってはできないようだ。
その様子を見て、周りにいる男たちは笑いを必死で堪えている。堂々と笑えないのは後で土方が恐いからである。
ただ一人、総司だけは、お腹を押さえてキャハ、キャハと笑っていた。
「アハハ、アハハハハハ…。土方さん……顔、おかしい……アハハ、ハハハ…」
「てめっ、総司💢後で覚悟しとけ!!」
土方は怖い声で言うが、この状況だと迫力も何もない。
その様子がますます変に見えたのか、総司はさっきより笑いだす。
しかしー…
「う……う……」
と、小さな嗚咽の声が耳に入り、総司、土方、近藤は一瞬動きを止める。
悠奈が肩を震わせ、泣いていた。
ポタポタと涙の雫が手の甲に落ちてきている。
「ど、どうしたんだいっ!!」
近藤は土方から離れ、悠奈のところに近づくと優しく背中を擦った。
,
最初のコメントを投稿しよう!