詮議

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「あの………僕、ここで働きます……。 近藤さん……よろしくお願いします!」 悠奈は深々と頭を下げた。 「ああ、よろしく頼むよ、悠奈君」 近藤が頭を上げてくれと言ったので、悠奈は素直に従う。 「そういえば、まだ正式な自己紹介をしていなかったね。 私は近藤 勇。 壬生浪士組の局長をしている」 そう言う近藤の表情は威厳が漂っていた。 しかしすぐに優しげな雰囲気に戻るとニコニコと満面の笑みを浮かべて自分の後ろにいる男たちのうち土方と優しげな雰囲気の男を見て、 「この二人は浪士組の副長。 目付きが怖い方が土方歳三君。 優しそうな方が山南敬介君だ」 「勝っちゃん……」 近藤に目付きが怖い扱いされた土方が頭を抱えた。 土方の隣にいる総司が腹を抱えて笑っていたが、 土方が無言で総司の頭に拳骨を振り落とした。 ゴツンッ!! と痛そうな音が悠奈の耳に聞こえた。 (うわっ……。痛そう……) その様子を見てしまった悠奈が頬を引きつらせた。 現に総司は頭を抱えて悶絶している。 「よろしくね、神谷崎君」 しかし、山南はマイペースなのか、慣れてしまっているのかそんな二人を気にしないで優しく微笑んで悠奈に挨拶をする。 「あ……はい……よろしくお願いします……」 そんな山南の流れに飲まれ、悠奈も二人から目を離して山南に頭を下げて挨拶した。 ,
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