詮議

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「そして最後は藤堂平助君だ」 近藤の紹介で藤堂と呼ばれた優しい顔立ちの美青年がにっこりと微笑んだ。 「悠奈君、覚えている? 昨日会ったこと」 藤堂はちょっと首を傾げて聞いた。 悠奈はこくり、と頷く。 忘れる訳がない。 「昨日は女と間違えちゃってごめんね。 君があまりにも綺麗だから気がつかなかったんだ」 本当に申し訳なさそうに謝る藤堂。 「……だ、大丈夫です! 慣れていますから…………」 謝られることに慣れていない悠奈は慌てて言う。 「これでこの部屋にいる全員は紹介したね。 まだ副長助勤はいるから、それは追々紹介するよ」 にっこりと優しい微笑みを浮かべた近藤。 「……は、はい。ありがとうございます……」 悠奈の言葉に満足そうに頷く近藤。 「さてと、次は悠奈君の部屋のことだが……」 「大部屋でいいだろ」 「駄目ですよ!!」 土方が当然のごとく大部屋を指定したら、沖田が反論した。 「悠奈君は女性以上に綺麗なんですよ。 大部屋なんかにしたら襲われてしまいます!!」 (襲われるってなんだろう……まさか!) 学校の体育館裏ーー 怖そうな不良の先輩たちが弱そうな男子生徒を取り囲んで袋叩きにしている図を想像してしまった。 (うう……襲われるってそういうことだよね……) 悠奈の顔色は真っ青になる。 ,
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