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「………はぁ」
再び肩を落とす。
「…………一応これでも、父さん似なんだよね……」
父も美男子だった。
だけどもう少し、男っぽかったような気がする。
「……僕って本当に男なんかなぁ?」
父の姿と自分の姿を重ねて、鏡に問いかける。
「……………」
しかし、鏡に質問したところで返事が返ってくるわけない。
悠奈は本日何度目かわからない盛大なため息をついた。
悠奈は洗面所から出て、自室に移動する。
その途中、
「開いてる……?」
悠奈から見て真っ正面の部屋。
そこの部屋のドアが少し開いていた。
(ここは、父さんの部屋……)
あの正面の部屋は父が寝室に使っていた部屋だ。
中がどうなっているのかは知らない。
生前、父は誰もこの中に入れようとしなかったから。
何度か整理しようと思ったが、なかなか決心がつかなくて結局一度も入ることはなかった。
だから、この部屋だけは、二年前のままだけど……
「何で開いてるの?」
悠奈にあそこのドアを開けた記憶はない。
なのに、ドアが開いていた。
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