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「悠奈君っ!顔色が真っ青だよ。大丈夫かい!?」
偶然、悠奈の顔を見た近藤が動揺した。
「……あっ、だ、大丈夫です……すみません……」
一応大丈夫と言ったものの、悠奈の頭の中では
(大部屋になったらいじめられるよ……。怖いよぉ……)
という考えが渦巻いていた。
「やっぱり悠奈君は大部屋は無理ですよ」
沖田が悠奈の顔色を見て、苦笑いをする。
「じゃあ、どうしろっていうんだ?
こいつは小姓だぞ。助勤でもねーのに個室にするわけにはいかねーだろ」
土方が面倒臭さと不機嫌が混じったような顔で言った。
悠奈が小姓になることをよく思っていないことが不機嫌な鋭い目付きでよくわかる。
「私と同室にしちゃえばいいんです」
「はぁ!?」
沖田の提案に土方は思わず聞き返した。
「いいでしょ。ね?土方さーん。
私だけ一人部屋で寂しかったんですから」
「駄目だ。
こいつだけ特別扱いをしたら隊に示しがつかん」
土方は頑として譲らない。
その時、悠奈は沖田が黒く笑うのを見てしまった。
(……なっ、何!?今の笑い怖っ……)
沖田の優しい微笑みしか見たことがなかった悠奈はその黒い笑みに鳥肌がぞわりと立つ。
(土方さん……大丈夫かなぁ……)
悠奈は何だか土方にとんでもないことが起こりそうな気がしてならなかった。
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