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「眠れねぇの?」
何度目かの寝返りをうった時、
暗闇に一瞬赤が灯った。
シュッて音と伴に瞬いた光が
ちょっと目に痛かった。
「悪い、眩しかったか?」
ライターの灯りで煙草をくわえた
貴方が見えて見惚れた。
「ううん、大丈夫。
ごめん、起こしちゃった?」
ゆっくり吐き出す煙に混ぜて
“別に”と貴方が呟いた。
塗り潰された黒い空が、
カーテンの隙間から覗いてる。
「瑠樺さん」
「眠れねんだろ」
まだ何も言ってないのに遮るから
思わず膨れっ面をした。
「今絶対拗ねてんだろ(笑)」
暗くて見えないはずなのに
貴方は吹き出して
俺の頬を突っついた。
さっきまでのムッとしてた自分が
それだけで消えちゃって
代わりに芽生えるのは
申し訳なさと悲しさ。
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