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ピッピッピッ
はやる気持ちで、キーを押す。
暗記してるTeLナンバー。アイツのポケットのケータイが今、着信音を鳴らしてるはず。
プルルル
プルルル…
ピッ❗
丈「もしもし?」
ぶっきらぼうな声が、子機から聞こえる。
鈴『丈志?』
丈「鈴華?どうした?」
鈴『あのね…』
ここから先が、どうしても声にならない。
言いたいことは、たくさんあるのに。
伝えたい想いは、たくさんあるのに。
熱すぎる想いが……言葉にできない。
ガラガラガラ
ドド━━━ン‼
耳をつんざくような雷鳴が空いっぱいに轟いた。
だけどあたしは、怖くないミルクが、傍にいてくれるから。
そして…
きっとアイツが、もうすぐ飛んで来てくれる筈だから
激しい雨に打たれているのは、ほんの僅かの時間で済んだ。
家から家までは、普通に歩いて7~8分。
だけど、ものの3分と経たないうちに、どしゃ降りの雨の中、丈志が姿を表したから。
丈『鈴華⁉』
鈴『丈志❗こっち‼』
ワン❗ワンワン‼
丈『鈴華‼』
庭からベランダに回って来た丈志が、あたしの傍に走り寄る。
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