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丈『なんだか…なあ』
このままじゃ、心臓ハレツしちゃうかも。
って思った瞬間、丈志が、ようやくボンヤリと口を開いた。
丈『最初から、やな予感がしてたんだ』
鈴『え?』
丈『ミルクが、お前のことを選んだ時、ミョーにクサレ縁になりそうだって』
(クサレ縁⁉)
鈴『ちょっとそれ、どーゆー意味⁉』
丈『こーゆー意味』
(あ━━━━━…)
雨音も
雷鳴も
ミルクの鳴き声さえも
今、あたしの耳には聞こえない。
感じるのは
両頬を挟みこんだ大きな手とか、お互いの髪を滴り落ちる雨の雫とか。
それから、
それから…
少しヒンヤリとした、唇の感触。
今、あたしは
<<丈志>>だけを、感じている。
ゴロゴロゴロ…
(あ…)
少し遠くなった雷の音に、我に返る。
瞳を開けると
いつもと同じ、素っ気ない顔がそこにあった。
鈴『今の…何?』
丈『認定証』
鈴『なんの?』
丈『彼女の…だったりして』
鈴『バカ‼』
ガラにもなく、照れてるアイツが愛おしかった。
まだ半分夢心地で、めいっぱい両手に力をこめる。
今、この腕の中にあるものが、夢じゃないって確かめたくて。
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