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(‥あぁ~、多分死体だな)
二日前にこの辺を拠点にしていたゲリラと軍が衝突していた。
政府はズボラだから死体なんて結構そこら辺に転がってる。
夏場はほっとくと傷むのが早いから、蛆が湧く前に誰かが海に捨てたのだろう。
(‥あ!、ゲリラの死体なら銃と持ってるかも!)
「銃は結構高値で引き取ってもらえるから貴重なんだよなぁ~」
青年は煙草を投げ捨てると、テトラポットに降りて布に近付く。
そして(金目の物を持ってますように…)と柏手まで打ってから布を勢い良く取り去った。
しかし布の下から出て来た物に、彼の笑顔は音を発てて固まる。
彼の足元では、真っ裸の少女が突っ伏していた。
「‥OK、先ず落ち着こうか?」
青年は顔に手を当て現状を理解しようと、ニコチン漬けの脳みそをフル稼働させる。
「あ、あれだ!。死体なら問題…」
少女の手首を恐る恐る掴み、彼は脈を見る。
指先に伝わる規則的な運動に、青年の顔から冷や汗が吹きだした。
「HAHAHA!~…。‥普通に生きとる…」
彼は少しの沈黙の後に立ち上がると、先程投げ捨てた布を少女に被せ直す。
そして踵を返し、防波堤に戻り始める。
青年の頭には『助けるor助けない』の二択問題が完成しており、彼は『助けない』を選択したのだ。
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