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初仕事は清武先生の特集である
私は事実を話すべきか黙っておくか悩んでいた
彼の母親への愛情はありあふれている
本当の事を知ればまたスランプになるか、下手をしたら自殺するかもしれない
『無理心中』…あのバーで口にした言葉だ
こんなこと考えて記事がなかなか進まない
私はなっちゃんに記事任せようと編集長に申し出た
編集長は彼女にも書かせてもいいわねと承諾してくれた
代わりに私が写真の構成をした
なっちゃんは苦戦しながらもなんとか書き上げた
私はこの時、もし私が居なくなっても、なっちゃんがいれば…そう思った
数日後、私は谷原部長とホテルで会った
セックスのあと母親の話しをしてみた
部長はタバコを消して私を抱き寄せた
『世の中真実がわかれば幸せになるもんじゃない。実際女の事情はわかっても母親としてはますます許せなくなったろ?
だったら清武には話さないほうがいい。優しい嘘をついてやれ、なんでも彼の父親もすでに他界してる
お前の父親から聞いた綺麗な話しだけしてやれよ。マドンナ時代のさ(笑)』
『うん…そうします』
『なあ…プロジェクトがそろそろ動き出したぞ』
『いよいよですか…。でも新聞部署…後はだれが?』
『日村しかいないさ。あの女はそこらへんの男より使える。であの大林もいけるぞ…。俺がいなくても平気だ』
そういって私の入れ墨を舌でなぞった
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