真実と優しい嘘

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日曜日、私は清武先生の家に行った 『清武先生、この前はすいませんでした』 『病院はいったの?』 『ただの過労でした(笑)ニンニク注射うったら元気になりました』 『俺考えたんだけど…あの写真、君に似てるよね』 『ええ、でもお母様のほうが綺麗(笑)あれはね…成人式の写真なんですよ』 『なんで?!』 『先生のお父様と私の父親は高校の同級生なんですよ。もちろんお母様も…マドンナだったんですって(笑)お父さんも好きみたいで同じ写真持ってます』 『そうなの!すごいな』 『お父さんにちらっときいたんですけどお父様とお母様は幸せに暮らしてたんですって でもお母様の家族が反対してて駆け落ち、先生が生まれてすぐ親に戻されたみたいよ だから先生は愛されて生まれてきて、いまここにこにいるの幸せの真実なんです』 『嫌になって捨てたんじゃないんだ…』 『辛くて悲しくてしかたない事情なんですよ。お母様の実家はお金持ちだったらしいですから…うちの母親なんか下町の娘でしたからね(笑)よくおばあちゃんの家に逃げたもんです、母親暴れると』 『憎んでる?』 『ええ。娘の私にしたら迷惑な母親ですもの。浮気相手の男とセックスの途中で死んでますからね。なんでもお酒飲み過ぎて心臓やられたみたいで…恥ずかしくて先生にしか言えない』 私は開き直った顔で言った
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