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「勉強しなくちゃねー。」
「…え?」
「え?って…テスト明日だよ?」
「うそ!?やっば…」
忘れてた。
遊びすぎてた。
「何もやってない…」
「まぁでも、ももさ、賢いしいいんじゃん?」
いつもみんな、訳も分からず私をたたえる。
実際そんなに賢くないし、お世辞とかあまり嬉しくない。
勉強するのもちょっとしたくだらない理由のため。
…くだらないほどくだらない理由だけど。
「そんなことないしっ」
いい気になるのはよくないし。
謙遜するのが日本人。
それに、
《キラワレタクナイカラ。》
「風邪?」
心配そうな顔で佳奈子が聞いてくる。
ポーカーフェイスが崩れるのはよっぽど気分が悪いとき(佳奈子によるとそうらしい)だから、こんなに顔を曇らせる佳奈子を見るのも久しぶり。
私はひらひらと手を振って答える。
「大丈夫ー。ちょっと寝不そ…」
「あー!」
とっさの大音量に耳を塞ぐ。
「なに?…なに!?」
「分かったのー!!」
「うるさいー!!あーあー」
佳奈子、すぐ叫ぶの嫌。やめてほしい…。
「ストーカーに悩んでんじゃない?」
ストーカー?
「誰が?」
「え?私、ももがストーカー被害にあってるって前、誰かに聞いたよ?」
誰が言ってたんだろ?
ってか私、そんなおぼえないし。
「ないない。」
でも、佳奈子の知り合いが結構リアルに話してたらしい。
で、その知り合いによると、私の家の前でうろついたり、私の帰り道に私の後ろにいたところを何度か目撃している人がいるみたい。
「つまりー、ももって鈍感なんじゃん?」
佳奈子が笑う。
…失礼。
「違うしっ!私帰り道って…」
あー、やっぱいいや。
考え事してるんだけど。
「何よー?」
説明するの面倒。
「何でもないー。」
すっごくしつこく佳奈子が叩いてくる。
やだこれ。
佳奈子の悪い癖。
周りから見たら冗談言い合ってる2人だけど、叩かれてる私は結構まじで痛い。
まぁそう見えてるならいいや。
そう見えてないと困る。
私、捕まりたくないし。
また暇な時に確かめてみよっかな、そのストーカー。
「大丈夫ー?もも1人じゃ危なくない?そういう奴が1番怖いんだよー?」
「平気平気。慣れてるし。」
「ももはモテるからねー。」
とりあえずこのままじゃほっとけないし。
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