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シャワーを浴び、好物のカレーを食べ、何気ない家族との会話を楽しみ、拓也は疲れ切った体をベッドに沈めた。
「助けて、ね……」
天井を見つめ、呟き、瞳を閉じた。
「綺麗な声だったかな……?」
奇妙な出来事ではあったが、彼は楽観的な人間だった。声が若い女性のものだから、というのもあったのだろう、若い故の、方向性のない下心も、若干あった。
「助けられるなら、助けてやるよ……と」
意識があるのかないのか。それが、その日の拓也の最後の台詞だった。
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