~プロローグ~

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「はっきり言ってくれ。ワシの命はあとどれくらいだ??」 王が急に真剣な顔でリンギーを問いつめた。 しばらく間をあけてリンギーは深いため息をついて言った。 「ではお教えしよう」 リンギーは今までに見せた事のない真剣な顔をした。 「王の命は後2年!…いや1年かもしれん。」 エコローズ王国の人々の寿命はおよそ1000年。560歳の王はあと500年近く生きられるはずなのです。 「うむ…それで原因は?」 「これは、どうやら呪いのようじゃ!」 リンギーはすぐに答えた。 「呪いだって!!」 マルシュは信じられなかった。 ただの風邪だと思っていた王は呪われていてしかも後1年しか生きられないなんて考えもしなかったからだ 「呪いとな?!」 王もマルシュとほぼ同時に答えた 「さよう…誰が何の目的でそのような事をしてるのかは分からぬ。 しかしマーク族ではない何者かが強力な呪いをかけているのだ!」 「ワシはその呪いに犯されておる…というわけだな。」 リンギーはさっきから部屋をぐるぐる回りながら落ち着いていられない状態だった。 「さよう。やがて同じ呪いに犯された民も出てくるだろう。じゃがワシの治療魔術では苦しみを和らげる程度の治療しかできぬのじゃ。」 「ははは…国一番の名医も打つ手なしか。」 するとリンギーはすぐに振り向き「いや!!手は一つある!呪いをかけている敵を見つけ出して倒すのじゃ!」 「…まぁ1000人の兵士をもってしてもこれほどの魔力の相手じゃ倒すのは難しいことじゃろうが。」 「…うむ」 すると王はカーテンの近くに花が落ちているのに気付いた。 「マルシュか…」 王は突然近くにいた兵士に言った。 「急いでキャティーを連れて来てくれ」 「ハッ!!」 兵士はすぐにキャティーを寝室に呼び出した。キャティーが寝室に着くころには、マルシュは荷造りを終えて自分の部屋の窓からカーテンを細く切って結んで作ったロープで今飛び出そうとしていた。 別に表口の門または裏の門から出ればいいのだが時間に厳しい剣術の先生ロナが怒り狂ってマルシュを探しているので窓から出る方が安全なのだ。 かといって高所恐怖症なマルシュには安全な出口はない。マルシュは母形見の魔法宝玉 「ルーン」 を自分の杖の先縁に取り付けた。 マーク族は一人前になると、このような宝玉を親から渡されるのだ。 しかしマルシュの母親はマルシュを生んではやくに亡くなった。
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