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その大きさ、高さ、岩というよりは城壁だ。その中央には深々と文字が彫られているが、三人には全く読めないものだった。
岩の周りには四本の松の木が生えており、縦横無尽に紐が張り巡らされ、古びた札がぶら下がっている。
まるで、その岩を護るかのような重々しい雰囲気に、一瞬三人は心を奪われた。
「…ふ、ふふふ…。“みっちー”良かったじゃん。ホントにあったんだね。写メ撮りなよ。皆に自慢すんでしょ?」
“エミ”に促され、我に返る二人。“みっちー”が慌てて携帯電話を取り出し、撮影を始めた。
確認のために携帯電話を見る“みっちー”が不審そうに眉を顰める。横から覗き見た“ノリちゃん”も不思議そうに首を傾げた。
「…何も写ってねー…」
「つか、この紐とかお札が邪魔で岩見えねぇし」
なら、と立ち上がったのは“エミ”。自身の化粧ポーチから小さな鋏を取り出す。
「紐、切っちゃえばいいじゃん」
“エミ”が弾むように岩を囲んでいる紐に近づく。先程の動転ぶりはどこへやら、上機嫌に鼻歌まで飛び出す。
「――えいっ」
楽しそうな“エミ”の声と共に一本の紐が、ぷつん、と、いとも容易く、切れた。
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