一夜

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一体どれほど寝ていただろうか。窓から差し込む光は茜色に色付き、窓の外には春先の暖かな夕焼けが広がっていた。 優斗「……寝過ごした」 特にこれといった用事も無いので良かったが、時間を無駄にしたかと思うと憂鬱になる。 だが、何より悔しいのは…… 優斗「タイムセールス………豆腐一丁62円だったのに……」 今日から5日間の大親友候補だったのだが、出会う間も無く離別してしまったことが一番憂鬱になった。 中学卒業までは孤児院に入っていたので何ら考えたことは無かったが、高校に入ってからの三年間で食費の大切さは身に沁みた。 だからこそ、一丁62円は、62円こそは手に入れたかったのに…… 優斗「…………また、パンの耳か」 給料日前は、パンの耳と友達になる今日この頃。
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