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優斗「……な……なん…だよ…コレは…?」
漸く絞り出した声に答えは帰ってこない。否、初めから求めてはいない。
自らを落ち着かせるように、少しずつコレを受け入れるように、呪詛の如く吐き出した言葉なのだから。
優斗「ハハ……ハ…ハハ…………有り得ない…」
ーウソダー
優斗「……夢だ」
ーユメジャナイー
優斗「……マジで…何が……ッ!?」
混乱する頭のせいなのか疲れからなのかは分からないが、ふらついた体が背後の柔らかな肉の壁に『もたれ掛かった』。
優斗「………嘘だろ?」
優斗が横目で見た先の背後に有るはずの扉は消え去り、同時にその先に続く自分の部屋まで消えていた。
何時の間にか電灯も消えていて、文字通り肉だけとなっていた。
優斗「ハハ……」
まるで最後の希望が消えたかのように、体から一気に力が抜けた。
肉の壁にもたれ掛かって体重をかけると体はゆっくりと沈み、冷たい血が服に染みてくる。
だが、起きようとはしない。
夢なら覚めるから。
こんな悪い夢なんて、これ以上見続ける必要はないから。
脈を打つ肉に体を包まれて行きながら、優斗は静かに意識を手放した。
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