幻詩

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幻詩

眠れない夜 睡眠薬をどうぞ この肺に侵入する酸素を 外に出し切りましょう なぜどうしてうなされてるの それは霊の仕業ではありません この脳が泣いたりするのです 私の砂の城が崩れてゆきます 幻の音が聴こえる夜は 烏も鳴かないのです 全ては取り越し苦労なのです あの夜を思い出して下さい 指と指を絡める夜は少しいとしいですか 哀しいですか 命さえ落としても構わないですか あなたは唯一つの完成品 虚構みたいな世界です 唯生きているのが苦痛でしょうか そんなことはございません 血液に似た色の真っ赤なネイル 明日は確かじゃないもの この赤も 幻の偶像があなたにみえたら それは切れてしまったお薬の所為 何をお飲みになりましょう? 頭があればみえてしまう 頭があればきこえてしまうの 分泌されしホルモンの崩壊 この白い手に流す泪は何色でしょう 小人が踊る 悲鳴泣き声踏み切りの音電話の音 あなたにはきこえないでしょう? 眠れないから心中未遂 あなたの晴れ着姿が美しかったとお婆さまからお手紙があったわ それも病の頃 美しかったと あなたには鏡にうつる人形が見えるかしら あのように血を垂らしたら 一層美しいでしょう 幻詩 あなたに与えましょう 安らかな恐怖と 私の囁きを
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