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草原にある、一本の大樹。
そこに少女は、いた。
その少女は絵を描き終えると、何かをぶつぶつと唱え、絵を具現化させた。
一通りそれと楽しんだあと、それを消してまた描き始める。
彼女はもうかれこれ、こんなことを10年も繰り返していた。
今年で、15になる。
親からそう伝えられた。
だが彼らからに名前は与えてもらえなかった。
だから「あなた」としか呼ばれていなかった。
親は、もういない。
少女はふと空を見上げる。
大樹の枝と葉、それに澄みきった青い空。
彼女は、そこから一歩も動こうとはしない。
食事はどうなるのかというと、例の如く具現化魔法だ。
少女自身に欲はない。
ただ、絵を描き続けているだけ。
そんな生活が、ずっと続くと、思っていた。
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