0人が本棚に入れています
本棚に追加
デッサン2:ルル
「君の名前は、ルルだ」
「…ルル?」
「うん」
ハルは、笑った。
それにつられて少女――ルルも笑う。
「僕は歌謳いなんだ。もちろん、歌を歌うんだけどね。時には既存の物語をイメージした歌とかも歌うんだ。」
そう言って、ハルは歌い出す。
その歌は、少女が花畑で愛犬と遊んでいる、明るく優しい歌だった。
澄みきった声。
ルルはそれを聴いていた。
ハルは歌い終わると、ルルに向かってどう?と聞く。
「…きれい。歌もそうだけど、ハルの歌声がとても…」
「あはは、そう言ってくれるなんて嬉しいなぁ」
「でも、僕は売れてないんだけどね」
「う…?」
「あ、そうか。ここから出たことないんだもんね。えーっと、それほど有名じゃないってことさ。この小説書いてる作者みたいに」
てめぇ出番減らすぞ(作者談)
「いまヒドイ事言ったね。」
「気のせいだよハハハ」
「とにかく、君の名前はルル。いいでしょ?」
「…うん。」
「決まりだね、よろしく、ルル!」
そう言ってハルはルルに手を差し出す。
ルルはワケがわからず、手をじっと見ていた。
「ルル、右手出して」
「?」
出した手を、握られる。
「これが握手。よろしくって意味。」
「あくしゅ…?」
「うん。」
「うん、よろしくね、ハル!」
そう言って、少女――ルルは満面の笑みで笑ったのであった。
最初のコメントを投稿しよう!