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デッサン3:飛ぶ
ルルと名付けられた少女は今日も絵を描いていた。
ただ、「いつも」と変ったことは
名前がついたのと、少年――ハルが一緒にいること。
「ルルはさ。空と飛ぼうと思ったことある?」
「え?」
「いや、僕の知ってる具現化魔法使いはさ、みんな空を飛べる道具もしくは羽を持ってるんだ。それで、空を飛ぶの」
「考えたこと、なかったなぁ…」
ルルは小さくそう漏らす。
「そっか。楽しいよ?」
「ハルはやったことあるんだ」
「うん。」
「ふーん…じゃ、今から描くね」
おもむろに、羽を描きだす。
2枚で一対の翼を2つ描く。
それを具現化させた。
「…で、どうやって飛ぶの?」
「描いといてそれ?えーっとね、これを背中に付ける。」
「うん」
ルルは、ハルの言われた通りにする。
「浮け、と念じるんだ。そうしたら、思った方向に飛んでくれるから」
「……」
2人の体が、ふわりと浮いた。
「ぅ、わっ」
「ほら、できた」
ルルは色んな場所を飛びまわる。
無邪気に、楽しそうな笑顔を浮かべながら。
「あんまり遠くに行っちゃダメだよー」
「うんー。あはは、楽しー!」
少女ルルはまた、新しいことを覚えたのだった。
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