遺影

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それに気づいたのはプレハブを建ててすぐで、それは日に日にハッキリ見えていきました。 その後父は進行性胃癌になり、七年の闘病の後に亡くなりました。 そしてその壁の顔は父が亡くなった後に気づいた時には消えていたんです。 前にも書きましたが、私は父の癌が発覚し手術という時に家出していました。 壁の顔を仕事場から毎日睨み返していた私は、父に忍び寄る悪霊と無意識に戦い、悪霊が邪魔者の私を家出する方向にしたように思えてなりません。 後で気づいても遅いし、私にとってはあの時家出したお陰で後の幸せが有りましたし、運命とはなんと皮肉なものなのでしょう。 私の中に残った疑問は飾られていたあの遺影の処分はどうしたのかということですが、それはとうとう両親から聞くことなく、今は両親共返らぬ人となりました。
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