二人居る

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その日は長い闘病中の父とこたつでのんびりしていました。 父の趣味は盆栽と麻雀と花札とゲーム スーパーファミコンのマリオテニスをしてみかんを食べながら、ふと台所を見ると台所の窓の外を父が通りました。すぐ隣に父がいるのに。外の父はそこにある盆栽を手入れしてるみたいで、履き物が土に擦れる音もしています。 服装は違いましたが、そこは塀を隔てた敷地の中ですし間違いなく父でした。 私は『あっ』と声が出てしまいましたが窓の外の父に聞かれたら大変なことになります。 ただただ時間が過ぎるのを待ちましたが外の気配がなくなりません😱 隣の父が立ち上がって台所の方へ行っても大変ですし、ファミコンして隣の父が騒いで外の父がそれを聞いても大変😱 私は無理矢理に父を玄関の外に引っ張り出し、車に乗せてあの父が居るのとは逆方向に家を出て買い物に付き合わせました。 あの時二人が顔を合わせることなくて良かったです。 勿論隣の父が本当の父とは分かっていましたが、外の父にも意識があったとしたらと考えたらそうするしかありませんでした。
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