第一楽章 rain the song

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必死に走っていた。 くらい闇の中を、どこまでも走って。 だけど、出口なんて見当たらない。 ここはどこなのだろうか。 自分は何から逃げているのだろうか。 それすらも分からずに、走り続ける。 いつまでも。 「      」 名前を呼んだ。 誰かの名前を、声が枯れるほど、強く強く呼んだ。 だけど、言葉になってくれない。 空白だけ。 「      」 幾度も、叫ぶように呼ぶ。 声が出ないのか、耳が聞こえないのか。 もしかしたら、目も見えていないのかもしれない。 恐怖が、心を埋め尽くす。 ただ、貴女に会いたいだけなのに。 一目みたいだけなのに。 それすらも、叶わぬ願いなのだろうか。 力尽きた僕は、膝から崩れ落ちた。 地面は硬くて、冷たかった。 なのに頬を伝う涙はなぜかあったかくて、余計泣けた。 これはきっと罰なのだろう。 君を愛してしまった僕への、罰。 だけど、こんなのってない。 目がなくちゃ、君を見つけられない。 耳がなくちゃ、君の声を聞けない。 口がなくちゃ、君に伝えられない。 こんなの辛すぎる。 心がいたい。 僕はただ、君に会いたかっただけなのに。
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