逃亡者

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剛くんの手を取って、海まで初めてのドライブをした。 思えば…これか最初で最後のドライブやったな…。 なぁ、剛くん。 海に着いて、砂浜で遊んで…。 剛くんに砂のトンネルを作ってもらった。 帰ろうと言われても、俺は駄々をこねた。 『せっかく上手く作ってもらったのに』…って。 そしたら剛くんは『じゃあ、写真撮ってやるよ』って言って撮ってくれた。 帰ろうと、砂浜を歩いている時…。 その時に……。 剛くんが倒れた。 隣にいたのに、砂浜に倒れ込んでいた。 「剛くん、何転けてるん?(笑)」 いつもなら『うるせぇ』って言う剛くんの反応がない。 「剛くん!?なぁ!どないしたん!?なぁっ!なぁぁ!!」 どうしたの? 何があったの? 何で倒れたの? 誰か…、誰か…助けて…。 「剛くん?剛くん?」 剛くんを揺さぶる。 剛くんの眼は固く閉じたまま。 震える手で救急車を呼んだ。 「どぉしてぇ…?どぉしてぇ…。なぁ…眼ぇ…覚ましてやぁ…。起きてやぁ…」 雫が剛くんの上に落ちた。 何度呼んでも、返事は返ってこなくて……。
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