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春が終わりを告げ、初夏の訪れを感じる季節。
太陽やそこに吹く柔らかな風が爽快感を演出し、小鳥のさえずりや道路を走る車、電車等が周りに起床を呼び掛けている。
会社へ向かうスーツ姿の大人達。
学校へ向かう学生達。
辺りは徐々に静けさから解放され、また一日が始まっていく。
そんな中、広い通りを学校へ向け登校中であろう、男女四人の高校生達。
会話がいつにも増して盛り上がりを見せているようだ。
「ねぇねぇ、知ってる?あの噂」
「知ってる知ってる!
あの公園のでしょ?」
朝から声の調子を上げ、楽しそうに口を開く女子高生二人。
それに釣られるように、男子高生二人も会話に加わる。
「確か、公園に深夜二時に行くと変な人が立ってるとか何とかってやつだろ?」
「その人と目が合うと、夢の中に引きずり込まれるんだったよな?」
「そうそう!
引きずり込まれたら最後、もう出てこれないらしいじゃん。怖いよねぇ~」
そう言いながら笑う女子高生は、実際に恐怖など全く感じていないのだろう。
周りも同じく、この手の噂は彼等にとって単なる笑い話に過ぎないのだ。
とその時男子高生の一人が、興味本位の一言を声に出す。
「なぁ、今日の夜そこに行ってみないか?」
「おぅ、行く行く!
お前等も行くだろ?」
「うん! 楽しそうじゃん!」
「私、そういうの大好きなの!
勿論行くよ!」
こうして四人の男女は、深夜の公園に足を踏み入れる事になった。
……翌日、彼等の姿を見た者はいない……。
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