【羽嶺若葉】中編

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父も彼方には感謝していた。 あの後、若葉は幾度となく 死を望んだ。 しかしそれを事ごとく 阻止し、俗世へ留まらせたのは 彼方であった。 父には癒せぬ傷を 癒したのは彼。 いつの日か父は、 “二人に祝言を上げてほしい” と、淡い夢を抱くようになった。 しかし非情な運命は それを赦しはしない…。 事件が起きたのは、 それからしばらく経った 蒸し暑い夏の日である。
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