【羽嶺若葉】中編

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「あっつ……。」 茹だるような暑さの中、 暑さに弱い彼方は ある物を買いに街に出た。 しかし注文したそれは まだ出来上がっていないようで、 彼は仕方なく代金だけを 払って店を後にした。 汚れた体になったからと 神社の敷居を跨がず、 ただの町娘になった今も 若葉の人気は衰えない。 通りを歩けば十人中 十人が振り返る程に 若葉は美しく成長した。 だからこそ彼方は焦った。 誰かにとられる前に 若葉を娶りたい、と。
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