熊クンに会った

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毎朝、反対のホームでは上り電車に人がギュウギュウ詰めに乗り込んでいく。 私、野崎 ひより は悠々と反対の下り電車で製菓専門学校に通っている。 下り電車といえど、朝の通勤、通学の時間帯。 すし詰めにはならないけど、座ることはできない。 いつも、最後尾から二番目の車両の後ろのドアが私の定位置。 今日もいつも通り。 角に寄りかかって、今日の授業でやるケーキのレシピを予習している。 プシュー… 次の駅で私が立っている側のドアが開く。 ………今日も乗ってきた。 最近、この駅で、このドアから、大きな男の子が乗ってくる。 彼はいつも私と向かい合わせに立つ。 ボサボサの黒髪。前髪が長くて目元を見たことはない。眼鏡もかけてるし。 ガッシリした肩に190近くはあるんじゃないかっていう程の長身。 軽く猫背で立つ姿はまるで熊サン。 、
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