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本編
ブロロロ……。
今日も廃棄物処理場に軽トラックがやってきた。
ガシャッ。
額にタオルを巻いた作業服姿の中年の男が、廃棄物の山に何か放り投げ、ふたたび軽トラックに乗り込み、土煙を上げながら走り去っていく。
それは全裸のマネキンだった。
金髪のロングへアで、どこも痛んでいるようには見えない。
しばらくして、どこからともなく野良犬がやってきて、ペロペロッとマネキンの頬を舐めた。
少しの間、マネキンは舐められていたが、突然ビクッと反応し、まるで命を吹き込まれたかのようにぎこちなく立ち上がった!
右、左、そして右と辺りを見回すと、目線を下に向けて頬を舐めた野良犬を見た。
「犬を見ている」
しゃべるはずのないマネキンがしゃべった!
野良犬はマネキンがしゃべったことに驚いたのか、キャインキャイン鳴きながら逃げていった。
「歩いている」
マネキンは何かを求めるかのように歩き始めた。
「私を捨てたの……誰?」
その時、地面に真新しいタイヤの跡を見つけた。
他に手がかりらしいものもなく、そのタイヤの跡を辿っていくことにした。
マネキンはまだぎこちない歩き方で廃棄物処理場を後にした。
やがて、十字路が見えてきた。
タイヤの跡は左へ続いている。マネキンは左のかかとを支点にして直角に道を曲がる。
「遠くにいる子供2人……見ている」
そう、前から小学生ぐらいの男の子2人がこちらへ向かって歩いてくるのが見えた。
男の子2人はマネキンが歩いてくるのに気づくと、「あれ、マネキンじゃないか?」と大きい方が指を差しながら言った。
「本当だ、歩いてる! しかも、服着てない」
「しゃべっている……のは子供たち」とマネキンも反応した。
「近づいてみようぜ」と大きい方が言う。
「うん」
2人はマネキンの至近距離まで近づいていった。
「おい、何でマネキンが歩いてんだよ?」と大きい方が話しかけてきた。
「兄ちゃん、こいつの結構大きいぞ」
どうやら兄弟のようだ。
「お前、ませてんな」と兄が笑う。
「ちょっと触ってみるか」
兄がマネキンの膨らみに触れようとした。
触らせる
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手で追い払う
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