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兄がマネキンの膨らみを片手で鷲掴みした。
しかし、マネキンは何の反応も示さない。
「なんだぁ? 柔らかくねぇ」とすぐに手を離す。
「兄ちゃんだけずるい」
弟も触ろうとするが、手が届かない。
「触られても突っ立ってるだけなんて。もう行こうぜ」
2人はマネキンの横を通り過ぎていく。
弟が振り向いて、「デパートのマネキンは服を着てるのに、こいつはどこのマネキンなんだろう」と呟いた。
「服を……着てる?」
マネキンは何気なく自分の体を見た。
そう言えば、男の子たちも服を着ていた。
「服を探そうとしている」
マネキンはふたたび歩き出すと、服を探すことにした。
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