本編

1/3
7人が本棚に入れています
本棚に追加
/3ページ

本編

ブロロロ……。 今日も廃棄物処理場に軽トラックがやってきた。 ガシャッ。 額にタオルを巻いた作業服姿の中年の男が、廃棄物の山に何か放り投げ、ふたたび軽トラックに乗り込み、土煙を上げながら走り去っていく。 それは全裸のマネキンだった。 金髪のロングへアで、どこも痛んでいるようには見えない。 しばらくして、どこからともなく野良犬がやってきて、ペロペロッとマネキンの頬を舐めた。 少しの間、マネキンは舐められていたが、突然ビクッと反応し、まるで命を吹き込まれたかのようにぎこちなく立ち上がった! 右、左、そして右と辺りを見回すと、目線を下に向けて頬を舐めた野良犬を見た。 「犬を見ている」 しゃべるはずのないマネキンがしゃべった! 野良犬はマネキンがしゃべったことに驚いたのか、キャインキャイン鳴きながら逃げていった。 「歩いている」 マネキンは何かを求めるかのように歩き始めた。 「私を捨てたの……誰?」 その時、地面に真新しいタイヤの跡を見つけた。 他に手がかりらしいものもなく、そのタイヤの跡を辿っていくことにした。 マネキンはまだぎこちない歩き方で廃棄物処理場を後にした。 やがて、十字路が見えてきた。 タイヤの跡は左へ続いている。マネキンは左のかかとを支点にして直角に道を曲がる。 「遠くにいる子供2人……見ている」 そう、前から小学生ぐらいの男の子2人がこちらへ向かって歩いてくるのが見えた。 男の子2人はマネキンが歩いてくるのに気づくと、「あれ、マネキンじゃないか?」と大きい方が指を差しながら言った。 「本当だ、歩いてる! しかも、服着てない」 「しゃべっている……のは子供たち」とマネキンも反応した。 「近づいてみようぜ」と大きい方が言う。 「うん」 2人はマネキンの至近距離まで近づいていった。 「おい、何でマネキンが歩いてんだよ?」と大きい方が話しかけてきた。 「兄ちゃん、こいつの結構大きいぞ」 どうやら兄弟のようだ。 「お前、ませてんな」と兄が笑う。 「ちょっと触ってみるか」 兄がマネキンの膨らみに触れようとした。 触らせる 2ページへ 手で追い払う 3ページへ
/3ページ

最初のコメントを投稿しよう!