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息が白くなるほど冷たい朝だった。
家を出るとすぐそばに一つの段ボール。そこから、小さな、本当に小さな声がした。男はそこを覗き込む。すると、そこには一人の赤ん坊、いや、もう少し大きい。二歳か三歳くらいの男の子がいた。体がぎりぎり入りきるくらいの大きさの段ボールに身を丸めて暖を取ろうと必死になっていた。
「どうした?」
「あ。」
「ん?」
「あ、あ。」
その男の子はずっと、あ、と繰り返すだけだった。そして、わかる。この子は言葉を知らないのだ。教えられてこなかったのだと
鼻や頬は真っ赤で、手も痛々しいくらいに腫れていた。急いで暖めなければ死んでしまう。そう思って、急いでその男の子を抱えて家の中へと入り、ストーブの前へと座らせた。
その日の夜はとても綺麗な満月の夜だった。
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