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次の瞬間、勇者は魔王の攻撃による衝撃を感じることはなかった。
その代わりに、心地よいシャンプーの香りが勇者の鼻を擽る。
「……ア、アリス…!!」
勇者に魔王の一撃が届くことはなかった。
アリスと呼ばれた銀髪の女が、勇者の盾となったようだ。
「……やっと、役に立てたね?……いつも、守って貰ってばっかり、だったから…っ…」
アリスは苦しそうに呟きながらも、自慢げに笑顔を見せた。
「……お前はバカだっ……お前がいなくなったら、俺は……俺は、何のために生きればいいんだっ!!」
勇者は涙を流しながら、消えゆく命をつなぎ止めるすべを持たない自分を悔やむ。
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