パチンコ屋の中心で愛を叫ぶ

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『ピコッ』 『ピコッ』 『リーチ!』 真ん中のリールを挟み、2つの7が直線上に並ぶ。 すると2つの7は激しく光り出す。 「きたぁぁぁっ!激熱だよおい!頼むよ!?生活費だよこれ!!」 二十代半頃だろうか? 長身痩躯、指に刺さりそうなツンツンした長い黒髪を振り乱す。 男とは思えないほど中性的に整った顔立ちは、興奮のしすぎで歪んでしまっている。 「零ちゃんすごいわー、そのリーチ初めてみたわー、確定ちゃうん?」 隣のパチンコ台に座るオッサンが、画面を覗き込みながら話しかける。 「ちゃんつけんな!黙ってて!生活費が!生活費が掛かってるんだからっ!」 男は零と呼ばれているらしい。 零は元々悪い目つきをさらにつり上げ、烏のように黒い双眼は、画面上に輝く7を見つめる。 素早く動いていた真ん中のリールは、徐々に動きを緩やかにしていく。 「頼むぞマイケル……簡単な事だよ、君はド真ん中でストップすればいい……それだけなんだマイケル……どうだ簡単だろう?マイケルッ……マイケッ……!!」
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