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ぼんやりとしていた視界が少しずつ明確になっていく。━━━木製の天井。
家の中らしい。
誰かが助けてくれたのか。
「おっ、起きたか。どうだ?気分は」
声の方を見ると、体格の良い、薄い茶色の髪の男がいた。
「………普通だ…ここは?」
「ん?ここは俺の家。で、俺はティルト。
あんたは?」
「………………」
俺が黙っていると、ティルトはため息をついた。
「あ"~~~っ!あんた、まさか記憶無いとか言うなよ…。面倒なモン拾ってきちまったぜ…」
「なんか知らんが、すまない。俺には記憶が無いらしい」
すると、ティルトは諦めた様に言った。
「OK!怪我が完全に治るまで、俺が面倒見よう!
それと、あんたの名前は、『シュリン』な。はい、決定!!」
「…シュリン……?」
滅茶苦茶なヤツだ。
いきなり人の名前を決めてしまった。
「そう、シュリン。あんたの首に下がってたこのペンダントに書いてあった」
と、ティルトはシルバーのペンダントを寄越してきた。見ると確かに『シュリン』と彫ってある。
「怪我見る時発見してよ、宜しくな、シュリン」
ティルトはニカッと笑った。
「…宜しく」
仕方ない。とりあえず、記憶が戻るまで、『シュリン』として生きるとしよう。
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