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「確か、俺の間違いじゃなければ谷底に居たんだが」
疑問に思いティルトに聞いてみた。
「ん?簡単さ。ここがその谷底だ。それより、シュリンは何でも食えるか?
あ、記憶無いんだったな」
ははは、とティルトは笑った。どうやら、食事を作っている様だ。
「ここ、谷底なのか。変わった家だな」
「こんなトコじゃねぇと、人間は住めねぇよ。地上(うえ)には、魔物が居るからな」
ティルトは当たり前の事の様に言った。
「…魔物……?」
「はぁ!?そんなことも忘れてるのかよ!面倒ッ!!」
ティルトは頭を抱えた。
俺が聞いた事は常識の事らしい。
「あ"~~~~っ!ま、良いっ。メシ食いながら、話すよ。ほれ、スープ」
ティルトが皿とスプーンを差し出した。
起き上がって、それを受け取る。ティルトはベッドの横に椅子を置き、そこに座ってスープを食べ始めた。俺も一口食べる。具沢山で、結構美味しい。
「魔物ってのはな、人間とは違う、異形のモノだ。
大体の姿は、獣の様だが稀に人形(ヒトガタ)がいるな。 俺は見た事無いけど。
で、奴等は必ず人を襲う。被害は昔から絶えないんだ。そこで、魔物を倒すためにいるのが、始末屋だ。
まあ、大体銃とか剣とか使って 殺るな。俺は銃派だけどな」
そこまで言うと、ティルトはまたスープを口に入れた。俺も食べながら聞く。
「男共は大体、始末屋だ。じゃないとこの時代生きて行けねぇし。他の商売は女がやってる」
「つまり……ティルトも始末屋?」
「そうだ。あ!もしかして、シュリンも始末屋だったのかも!魔物にやられたのかもな」
それって、凄い格好悪くないか……?
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