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食べ終えたあと、顔を洗った。冷たくて、気持ち良い。その時、初めて自分の顔を見た。ティルトよりは細身で、肌の色も白い。髪は黒くて少し長かった。
我ながら、こんな弱々しくて戦えるのかと思う。
すると、ティルトがタオルを持ってきた。
「はい。これで顔拭いて」
「有り難う。…俺、なんか弱々しい顔してるな」
そう呟くと、ティルトは笑った。
「確かにな。でも、整ってて綺麗だと思う、俺は」
「綺麗…?」
男として、あまり嬉しくない。
「あ。そうだ、シュリンは銃と剣、どっちが良い?」
「…剣」
「なんで?覚えてんの?」
「なんとなくだよ。なぁ、俺が着てた服とかあるか?」
「あぁ、あるぞ。黒いコート。あまり破れてなかったし、洗っておいたから着れる」
なんと言うか、ティルトはお人好しだ。
「それくれ」
ティルトは畳んである、コートを箪笥の引き出しから出した。
「ホレ。抜け道通って外に出るから。ちゃんとついて来いよ」
「抜け道?」
「そ。まともに出たら、魔物に襲われるからな」
俺はコートを羽織い、剣を手に取った。
「じゃあ、行くぞ」
ティルトは木でできた扉を開けた。そこには、石造りの階段が続いていた。
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