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「……連れていけ」
「はっ!」
暴れる音、何かが破裂したような乾いた音、最後は扉の閉まる音
俺は、何も出来なかった
そろり、そろりと棚の扉を開ける
そこには真っ赤な景色
「……パパ……?」
ピチャ、ピチャ、と真っ赤な水溜まりの上を歩いて父の元へ歩み寄る
近くまで行けば軽く揺する。が、もちろん反応があるわけがない
父は、死んでいるのだから
だが、俺の脳はまだ全てを理解できておらず、その事態に悲しむ余裕もなく、フラフラと立ち上がれば扉へと進む
(……助けないと)
いない母を追いかけるように
何故か震える足に鞭を打ち、家から飛び出した
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