~第二話~

6/15
前へ
/259ページ
次へ
『あ…』 …そこに現れたのは、一人の男子生徒。 眠っていたのだろうか… 目を擦りながら桜の木の裏側からのそりと現れた。 『あ? だれお前?』 『こいつ、一年じゃん?』 ――私の高校は学年ごとにネクタイとリボンの色が違うから… その男子生徒が、私と同じ一年だという事はすぐにわかった。 『うるせぇっつってんだけど』 しかし、そんな事はお構いなしに… 男子生徒は不機嫌オーラ剥き出しで。 『おいこら。 だれに向かって言ってんだ? このガキ』 二年生であろう男子生徒達を怒らせるには十分だった。 ――危ないっ… 不良達の拳が振り上げられた、と同時に… 『こらー! お前達なにしてるんだ!!』 『『げ…やべっ』』 恐そうな男の先生が叫んだ。 男子生徒達は慌てて去っていく。 『…おいお前っ…! …一年か? こんな所でなにしてる?早く帰れ』 『……へーい』 そう一言言い捨て、先生はすぐに立ち去った。 その後に私が見たものは―― 桜の木の下に落とされたタバコの吸い殻を… 男子生徒が拾っている姿だった。
/259ページ

最初のコメントを投稿しよう!

176人が本棚に入れています
本棚に追加