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『え…?』
…次の月曜日。
その日も彼はいなかった。
でも…
『これ、智也のじゃん』
昨日拾ったピアスを見たクラスの男子はそう呟いたのだ。
『智也…?』
聞き覚えのない、その名前に首を傾げる。
すると男子達は
『え?知らねぇの?』
と驚いた顔を見せた。
『藤井智也だよ!
ま、隣りのクラスだからわかんねーのも無理ないか。
お前も藤井だろ?
偶然だな!同じ苗字っつーのも』
けらけら笑う男子。
しかし、私の意識はすでにトリップしていて…
『……ぁ…』
そう、思い出したのだ。
見覚えのあるこのピアス。
これは……
あのひとが、していたピアスだった。
寝ている彼の耳で小さく揺れていたピアス。
『…名前…
藤井…智也…?』
――それが…
私の智也の出会い。
いや正確には
出会ってはいないのだけど。
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