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『な、お…?』
まだ少し熱い頬をさすりながら…
目の前の直を見つめる。
――どうして…?
『いや…何か…
構えられてたから、さ…
嫌…だったかなって』
『――っ』
そう苦笑いする直の視線は泳いでいて…
“直を傷つけた”
その事にようやく気づいた。
だから…
『!
ふじ…い?』
私は胸の痛みを隠すように、直に抱きついた。
『…ごめんね…
嫌なんかじゃないから…』
私に謝られたら、更に傷つけるのをわかっていながら
『…ごめん』
ただ、謝るしかなかった。
――きゅ。
しばらくその状態で沈黙が続いたが…
突然、直が私を強く抱きしめてきた。
そして、耳元で一言。
『…藤井はさ…
俺の事……好き?』
――どく、ん…
『好き…だよ?』
どくん…っ
『…そ、か…』
何…?
何でこんなに心臓が痛いの…?
直が悲しげに呟くから?
それとも直に信用されてない事が辛かった?
………それとも――――……。
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