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「心の色はね、みんなひとりひとり色が違うの。赤になるひともいれば、黄色になるひともいるし、緑になるひとだっているわ。さっきの穴みたいに、心を真っ黒にしてしまうひともいる」
「わたしは青くなったの?」
「そう。哀ちゃんは、涙で心をきれいにして、真っ黒な穴を消し去った。哀ちゃんの心は、涙の青に染まったの」
哀ちゃんはびっくりして、立ち上がりました。
「涙? 涙になったの? じゃあ、わたしの心は悲しいじゃない。わたしは、いつも泣いてなきゃいけないじゃない」
けれど女の子は、そんな哀ちゃんの頭を優しくなでました。
「違うわ。そんなことはない」
「なんで?」
「いい? 哀ちゃん。まずね、涙は優しいひとじゃないと流せないものなの」
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