14/15
前へ
/15ページ
次へ
  「いいのよ、わからなくて。今はわからなくても、いつかはわかる時が来るから」 「そっか」 哀ちゃんも晴れやかに、涙の後の顔に笑顔を浮かべました。 女の子の体が、すうっと薄くなりました。 「もう時間だ」 女の子は言います。 「いなくなるの?」 「うん。あなたの他にも、真っ黒な心になってしまいそうなひとがたくさんいるから」 「みんな、しあわせの青になるといいね」 「なるといいね」 女の子はもう一度笑いました。 けれどその笑顔は、なんだか悲しそうでした。  
/15ページ

最初のコメントを投稿しよう!

24人が本棚に入れています
本棚に追加