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「エリシアス、この者は信用に足る人物かい?」
「はい、父上。この者は私を、ひいては国を守ると確信しております。」
「ほう…。」
…
エリスとの出会いから3日後の昼過ぎのこと。
稽古を終え、部屋に戻ろうとしていたクライスの元に第14代フェリア王でありエリスの父であるエドガー・バル・フェリアから召喚状が届けられた。
慌てて正装し登城したクライスは、いきなり謁見の間に通され、辿り着いた場所の状況を把握した瞬間、凍り付いた。
なぜなら謁見の間には、国王をはじめ、王妃、王女、元老院12柱、王立騎士団長などそうそうたる顔が揃っていたのだから。
…
「クライス・エス・エクセリオンよ。君は、我が娘であり、王女であるエリセリアをどのような事があろうと守り抜くと誓えるかね?」
「我が王よ。既にこの身は姫君の為に在り、姫君を護る為なら如何な敵であろうとも討ち滅ぼしましょう。」
「ならば、守る事が国にとって大きな禍になるとするならどうするかね?」
「…その様な状況に陥る前に姫君を救い出す故、その問いに答える意味は無いかと思います。 それでも答えよとおっしゃられるのであれば、『私は姫君の剣であり盾である』という答えになるでしょう。」
片膝を付き、しかし王を見据えたままクライスは答えた。
「…姫の為なら国が潰れても構わんと?」
「その結末をもって姫君が幸せになるのであれば。」
クライスのこの一言を聞いた途端、一気に周りが騒がしくなった。
「貴様、国を守る騎士を目指している身で在りながら何たる事を!」
顔を真っ赤にしながら大憤慨しているのは元老院の長で右大臣を兼任しているドゥ・ナルグ。
「まぁまぁ、院長。姫様付き近衛騎士ならば合格点以上ではないですか。」
そんな彼を、苦笑いを浮かべながらなだめているのが100名を越える騎士を取り纏める団長であるカイル・リブリス。
ちなみにこの人、クライスの恩人であり師でもある。
国王は意味深な表情で黙り込んでいるし、肝心のエリスは、これ以上無いくらい困った顔で父親とクライスの間を行ったり来たりしている。
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