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……お兄ちゃん………
「!!」
慌てて身を起こし周りをキョロキョロと見る。
誰も居ない。
「幻聴……か………!」
微かに流れてくる懐かしく悲しい香り。
「この香り…」
霧がかかったような意識の中、ゆっくり立ち上がりフラフラと香りのもとに歩み寄る。
「そうか、こんな所に…」
しゃがみ込んだクライスの視線の先で、一輪の竜胆が緩やかな風を受け揺れていた。
「珍しいな。ここの気候じゃ自生はしないと思ってたが。……そうだろう、リア……」
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