第1楽章 ~出会~

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  ……お兄ちゃん……… 「!!」 慌てて身を起こし周りをキョロキョロと見る。 誰も居ない。 「幻聴……か………!」 微かに流れてくる懐かしく悲しい香り。 「この香り…」 霧がかかったような意識の中、ゆっくり立ち上がりフラフラと香りのもとに歩み寄る。 「そうか、こんな所に…」 しゃがみ込んだクライスの視線の先で、一輪の竜胆が緩やかな風を受け揺れていた。 「珍しいな。ここの気候じゃ自生はしないと思ってたが。……そうだろう、リア……」  
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