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小さな花をどれ位の間見ていたのだろう。
背後からまっすぐこちらへ向かってくる気配に気づく。
クライスは、腰に下げた剣の柄に手を添えて、心当たりを記憶の中から探し出す。
歩幅が狭い。
跳ねる程ではないが、軽い足音。
城内でも知る人の少ない庭園を知っている。
私服を着てる上に帯剣している人間に迷うことなく近づく。
(…恐らくは女性。背は高くなく細身。10代後半から20代前半。城内の設備に詳しく、しかもかなり世間知らず…)
数秒後、謎の人物はクライスの真後ろに立ち、多少ぎこちなく話し掛けてきた。
「竜胆…お好きなのですか?」
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